付き合い方・向き合い方ガイドブック 受けられる支援・
サービス

発達障害とともに歩む人とそのご家族が
知っておきたい公的な支援や
サービスなど

さまざまな困りごとの対処に悩み、ひとりで抱え込んでいませんか?
発達障害の特性により日常生活や社会生活での難しさを抱えている場合、さまざまなサービスや支援を受けたり、障害者手帳を取得したりすることができます。

これらにより、困りごとをやわらげ、生活の質を改善できるかもしれません。どんなサービスや支援があるのか、まずは知ることから始めてみませんか。

発達障害のある人とその家族を
支える公的なサービスや支援、
制度、法律

発達障害のある人を支えるさまざまな法制度や施策があります。代表的な福祉サービスや制度、法律について紹介します。

主な福祉サービスや支援

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターとは、発達障害のある人やその家族への支援を総合的に行う専門的機関です。保健や医療、福祉、教育、労働などに関する支援ネットワークを構築しているため、医療や仕事、さらに精神障害者保健福祉手帳の取得に関することなど、さまざまなことを相談することができます。

詳しい事業内容や、ご相談については、お近くの発達障害者支援センターへお問い合わせください。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、発達障害のある人が仕事と生活において自立できるように支援を行う機関で、全国に設置されています。就職や職場への定着や働き方、生活面について相談したり、さまざまな支援を受けたりすることができます。

詳しい事業内容や、ご相談については、お近くの障害者就業・生活支援センターへお問い合わせください。

厚生労働省 障害者就業・
生活
支援センターに関するページ

(大学生向け)
各大学の学生相談室や保健管理センター

大学で受ける教育や学生生活には、発達障害のある人には苦手なことが多く含まれています。たとえば、授業の選択・登録や単位数の管理、講義への出席やレポートなどの提出物などがあげられます。
さらに、講義内容によっては学生同士で議論するような場面もあるかもしれません。

もし大学生活で支障がある場合、各大学の学生相談室や保健管理センターなどに相談することができます。

主な制度

自立支援医療(精神通院医療)

医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
精神疾患や発達障害への対応のために継続的な通院が必要な場合、この制度の適用を受けることで、通常は公的医療保険で3割となる医療費の負担が、1割に軽減されます。
申請は市区町村の担当窓口で、申請書や医師の診断書、健康保険証などの書類を提出して行い、認められると「自立支援医療受給者証」が交付されます。

障害年金

病気やけがなどにより生活や仕事が制限される方に対して、国が年金を支給する制度です。「障害基礎年金」と「障害厚生年金・障害手当金」の2種類があります。
受給できる条件や申請方法については、日本年金機構のWebサイトなどをご参照ください。

日本年金機構
障害年金に関するページ

主な法律

発達障害者支援法

発達障害について社会全体で理解して支援するために、2005年4月に施行された法律です。
この法律では、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
この法律に基づいて、乳幼児期は健診の支援など、学童期には教育的支援など、青壮年期には就労機会の確保や地域での生活支援などが行われています。

障害者総合支援法

障害者の日常生活や社会生活を総合的に支援するための法律です。
この法律に基づき、訓練給付や相談などの支援を受けることができます。
発達障害のある人も、障害者総合支援法のサービスを受けることができる対象者に含まれています。
市区町村に窓口で申請し、障害支援区分の認定を受けて、利用サービスの支給が決められます。

日常生活などで一定の制約が生じる場合、
精神障害者保健福祉手帳の取得が可能

精神障害者保健福祉手帳とは、身体障害者手帳や療育手帳などと同様に、障害があることを証明する手帳。対象となるのは、発達障害などの精神障害によって長期にわたり日常生活や社会生活に一定の制約が生じる人です。精神障害者保健福祉手帳の交付を受けるためには、精神障害による初診日から6カ月以上経過していることが必要になります。

精神障害者保健福祉手帳を持つことによって、次のサービスを受けることができます。

  • 公共料金(NHK受信料減免など)の割引
  • 税金(所得税、住民税、相続税など)の控除・減免
  • 障害者雇用枠での就労
  • その他(生活福祉資金の貸付など)

また、地方自治体によっては、各種交通機関の割引や公共施設の入場料割引なども行われています。
なお、精神障害者保健福祉手帳には1~3級の等級があり、受けられるサービスは等級によって異なります。

1級 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

申請は、市区町村の担当窓口に申請書と診断書、写真を添えて行います。各都道府県・政令指定都市の精神保健センターで審査が行われ、認められると精神障害者保健福祉手帳が交付されます。

精神障害者保健福祉手帳の取得は
義務ではなく、自由に選択できる

精神障害者保健福祉手帳を取得することで、公共料金の割引や税金の控除・減免といったサービスを受けられるなど、生活に役立つ可能性があります。また、就労においては障害者雇用に応募することができるようになります。ただし、精神障害者保健福祉手帳があることによって、就業が保証されるわけではありません。

精神障害者保健福祉手帳は、取得の手続きや更新に多少の手間が必要となる以外、取得することによるデメリットは特にありません。とはいえ、発達障害と診断されたからといって必ず精神障害者保健福祉手帳を取得しなければならないわけではありません。

公的なサポートは精神障害者保健福祉手帳を持っていたほうが多く受けられますが、自立支援医療による医療費の助成や、障害者総合支援法による障害福祉サービス(たとえば、介護給付・訓練等給付)などは、精神障害者保健福祉手帳の有無にかかわらず、受けることができます。

専門医からの
ワンポイントメッセージ

発達障害の診断を受けても、必ずしも精神障害者保健福祉手帳を取得する必要はなく、取得するか否かを自由に決めることができます。たとえば、自立訓練や就労移行支援といった障害福祉サービスは、「障害福祉サービス受給者証」を持っていれば誰でも受けることができます。

まずは精神障害者保健福祉手帳があるとできることと、なくてもできることを、それぞれ知ることが大切です。

本文中に使用されている専門用語(アンダーラインのついたもの)については発達障害関連ワード集に詳しく説明があります。

監修太田 晴久先生
昭和大学 発達障害医療研究所
所長(准教授)

監修 太田 晴久先生 昭和大学  発達障害医療研究所  所長(准教授)

2002年 昭和大学医学部卒業後、昭和大学附属病院、昭和大学附属烏山病院 成人発達障害専門外来などで勤務。2012年 自閉症専門施設のUC Davis MIND Instituteに留学し、脳画像研究に従事。2014年から昭和大学附属烏山病院、発達障害医療研究所にて勤務し、現在は昭和大学発達障害医療研究所 所長(准教授)。

【専門医・認定医】
精神保健指定医、日本精神神経学会 指導医・専門医、成人発達障害支援学会 評議員、日本成人期発達障害臨床医学会 評議員