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大人の発達障害ナビ×
コミック『僕の妻は発達障害』

結婚してからも
しばらくは
妻が発達障害だと
思わなかった

2022年11月10日発売の週刊新潮にて、『僕の妻は発達障害』と大人の発達障害ナビのコラボ記事が掲載されました。
テレビドラマ化された大人気コミック『僕の妻は発達障害』(新潮社)の著者・ナナトエリさんは、ご自身も発達障害を持ち、夫で同書の著者・亀山聡さんと、日々結婚生活を送られています。
ここでは、週刊新潮に掲載された記事から、発達障害のある妻への夫としての向き合い方について、亀山聡さんのお話を掲載します。また、誌面には掲載しきれなかったロングインタビューもご紹介します。

2022年11月10日発売の週刊新潮にて、『僕の妻は発達障害』と大人の発達障害ナビのコラボ記事が掲載されました。
テレビドラマ化された大人気コミック『僕の妻は発達障害』(新潮社)の著者・ナナトエリさんは、ご自身も発達障害を持ち、夫で同書の著者・亀山聡さんと、日々結婚生活を送られています。
ここでは、週刊新潮に掲載された記事から、発達障害のある妻への夫としての向き合い方について、亀山聡さんのお話を掲載します。また、誌面には掲載しきれなかったロングインタビューもご紹介します。

週刊新潮 『僕の妻は発達障害』と
大人の発達障害ナビのコラボ記事

コミック『僕の妻は発達障害』
ナナトエリ/亀山 聡

漫画家のアシスタントをする夫の北山悟(30)と、発達障害を持つ妻・知花(32)の物語(フィクション)。いろんな問題があるなか、折り合いをつけながら過ごす姿が描かれている。「僕の大好きな妻!」(東海テレビ・フジテレビ系)のタイトルでテレビドラマ化もされた。最新5巻発売中。電子版でも読むことができる。

集中力の持続が困難

とめどなくおしゃべりしてしまう

気持ちのコントロールが苦手

毎日のように忘れモノをする

亀山聡さん インタビュー

悪意がないことを知り胸のつかえがとれた

私が妻であるナナトエリと結婚したのは、出会ってから4年後のことです。結婚してからも私自身は、生活において何の違和感もありませんでした。

ただ、私も彼女も理屈っぽいところがあり、結婚当初から夫婦喧嘩をよくしていました。激しい言い合いになることが多く、そのたびに、私の考えなどを話していたのですが、彼女は毎回、すっかり忘れていました。そのような状態がずっと続いたので、「私の考えはどうでもいいのか」と、思い切って伝えたのです。その時彼女は、聞いた覚えが全くないのは、何らかの精神疾患に起因するのではないかと思ったらしく、自ら検査を受け、結果、発達障害と診断されました。

彼女が発達障害であることを知ってからは、一緒に病院に行って特性など聞いたり、自分なりに勉強したりしました。そうするうちに、彼女の言動は性格や意思の問題ではなく、単に特性の問題だということが分かってきたのです。特に喧嘩した時の言動には、悪意などはなく、特性であったことが分かり、胸のつかえがとれスッキリしました。

お互い様だと気が付き二人のバランスを保つように

発達障害と向き合い始めた頃、私は、自分より彼女のほうが劣っているという見方をしたことがありました。仕事や結婚生活などに対する自信がなくなり、極度のストレスを抱え、妻を見下して、自分を落ち着かせようとしていたのです。またその時、ストレスから逃げるためゲームに依存し、大金を浪費するという失態もおかしてしまいました。

これらのことを反省して改善しようと自分自身を振り返った時に、私にも悪いところがたくさんあることに気が付きました。彼女もなりたくて発達障害になったわけではありません。私と彼女はお互い様だと思うようになり、発達障害に対する考え方や向き合い方が変わっていきました。例えば、衝突した時はきちんと話し合いをして、特性の部分は特性として受け入れ、最終的にどうしていくのか、具体策を二人で決めるようになったのです。大切なのは、特性に目を向けるだけでなく、二人のバランスを保つことなのだと思います。

今では結婚生活が6年以上となり、発達障害と向き合うのが当たり前の生活になっています。そのなかで私は、衝突は生じるものだと考え、その対処法に重点を置き二人で考えていけば、不都合なく、一緒に暮らしていくことができるのではないかと感じています。

これからも私たち夫婦は、お互いがその人らしく生きていくことができる関係を、築いていきたいと考えています。

One Point ニューロダイバーシティから見た発達障害
Neurodiversity at work 株式会社 代表取締役 村中 直人氏

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ニューロダイバーシティ(脳や神経の多様性)という考え方が、1998 年以降、広がりつつあります。人間の脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉え、相互に尊重する社会を築いていこうというもので、社会における少数派の発達障害者だけでなく、定型発達者と呼ばれる多数派の人も含めた全人類にとって有益な考え方です。多様性尊重といっても、「全員が仲良し」の社会を築こうというわけではありません。それぞれが違っていることを当然のことと理解したうえで、少なくとも、「こうあるべきだ」という自分の考えに合わない相手を攻撃、排除しないこと。適切な距離を探りつつ互いを尊重し、ともに暮らしていける社会を理想にしています。発達障害と向き合う場合、この考え方をベースにすることが重要です。

亀山 聡さん

亀山 聡さん

関東在住の漫画家。妻は漫画家のナナトエリさん。二人の名義では、「アナグマの気持ち」(週刊モーニング、講談社)がデビュー作。月刊コミックバンチにて『僕の妻は発達障害』(監修:四宮滋子/医学博士、新潮社)を執筆中

監修/村中 直人 企画制作/新潮社